『モーツァルト聴いても頭は良くならない!?「地元」ウィーン大発表』(AFPBB News),
研究チームは、1993年以降のモーツァルト効果の再現を試みた研究を収集し、効果が存在するとした証拠はないと結論付けた。今,読んでいる『最新脳科学で読み解く 脳のしくみ』(Aamodt, Sandra & Wang, Sam. 三橋 智子[訳]. 東洋経済新報社, 2009)でも,
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研究チームを率いたJakob Pietschnig氏はAFPに対し、「音楽を聴かせたグループは、それがモーツァルトだろうがバッハ(Johann Sebastian Bach)やパール・ジャム(Pearl Jam)であっても、何も聴かせなかったグループよりも成績は良かった。だが、刺激があればパフォーマンスが向上することはすでに知られている事実だ」と語った。
Pietschnig氏によると、米カリフォルニア大の研究は実験対象がわずか36人しかおらず、誤差を減らす工夫もあまりなされていなかったという。さらに、同氏は、この研究が、肯定的な結果の出た研究の方が報告されやすいという「出版バイアス」の典型的なケースだと指摘した。
- モーツァルトを聴かせたら大学生の空間推論能力が向上したという報告1があった2.
- "The Mozart Effect: Tapping the Power of Music to Heal the Body, Strengthen the Mind, and Unlock the Creative Spirit"(Campbell, Don. William Morrow, 1997)がベストセラーになった後,新聞・雑誌・書籍などでこの研究が取りあげられるうちに,大学生が子供・幼児に置き換えられてきた.
- 別の研究者たちによる大学生に対する追試では結果が再現されなかった.
Rauscher, Frances H., Shaw, Gordon L., & Ky, Catherine N. “Music and spatial task performance”, Nature 365, 611, 1993. ↩︎
その報告にはその効果が10〜15分以上続かない,ということもきちんと書かれていた. ↩︎