『「利他的行動は戦闘で進化」:コンピューターモデルで分析』(Wired Vision Japan),
「それが集団を戦いの勝利に導く場合には、利他的行動が強く支持される」と、サンタフェ研究所の経済学者で制度理論を研究するSam Bowles氏は話す。勝てそうな集団に所属していればおこぼれにあずかれる可能性が増し,その結果,子孫を残せる可能性が増える.だから集団内のメンバーに対する利他的(に見える)行動は利己的行動でもあるということですかね…
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Bowles氏は、「利他的行動を取ることによって個人が自らの子孫を残す機会が減る確率」を推定し、その数値を集団間競争のモデルに投入した。このモデルでは、個人の利他的行動が、集団が戦闘に勝利する可能性を高める役割も果たしていた。その結果、利他的な個人を擁する集団がやがて優勢となり、利他主義がその集団内で支配的となった。
「他の集団に対する殺意や敵意が、人間の集団内部における協力やサポートを支援した可能性がある」と、ロンドン大学の人類学者Ruth Mace氏は、この論文へのコメンタリーの中で書いている(同氏はこの研究には参加していない)。
むろん、Bowles氏の推論は多分に仮定の要素を含むものであり、また、戦いに参加するという選択は一見利他的でリスクを伴うが、他の報酬的要素、たとえば、戦利品にありつけるといったようなことが、リスクを乗り越えさせる力となっている可能性も考えられる。