ワインバーグの文章読本 — 自然石構築法』(Weinberg, G.M. 伊豆原 弓[訳]. 翔泳社, 2007)を読み終わった.自然石構築法を採り入れてみようと思ったので,久しぶりにちょっと真面目に感想を書いてみる.

「興味のないことについて書こうと思うな」が結論である. 文章を書くことを生業に(する|したい)のなら,日頃から興味のあることや文章(Weinbergは,これらを「自然石」1と呼んでいる)を,とにかく記録しておくことである. これらを自然石と呼ぶのは,レンガのように形が整っておらず,後にそれらの組合せ方を考えたり,形を整えたりする必要があるからである. 自然石構築法では,集めた自然石を捨てたり2,削ったり,並び替えて,文章を構築していく. もちろん,Weinbergが,

自然石構築法はそれほど安全でもなければ見通しも立たない。
と書いているように,アウトラインを作成し,それを膨らませてゆく手法3と比べると,執筆中のどの段階でも作成している文章が他人(や自分)からはめちゃくちゃに見えるだろう. しかし,文章の作成が賽の河原の石積み4のように(誰かに)強制されたものではなく,(自分を含めた)誰かが無理矢理壊したりしなければ,その過程は楽しいのかも知れない…


  1. 自分の書いた文章だけではなく,他人の文章も自然石として扱われる. ↩︎

  2. あるいは,今回は使わずに避けておく. ↩︎

  3. Weingbergは,これを「綿菓子レンガ積み法」と呼んている. ↩︎

  4. これは,石の形のバリエーションが少ないのが悪いのかも… ↩︎