歩行と走行
『急ぐとき、なぜずっと走らないのか?』(ナショナルジオグラフィック),スリニバサン氏は実験結果から、「人は移動しながら、目的地までの距離に対する自分の感覚に基づいて、歩行と走行をうまく調節している。あらかじめ決めておくのではない」という結論を導き出した。 (snip) この“モード切り替え”能力は、古代の人類に役立ったはずだ。「基本的には進化論上のテーマだ」とスリニバサン氏は話す。「先史時代の人類は食料を探すとき、エネルギーを温存しながら移動する必要があった。獲物がなかなか見つからず疲れた場合でも、捕食動物から逃げられるように」。 (snip) また、親子で散歩中に、子どもがしだいに遅れ、走って追いつくという動作を繰り返した場合、それは親を困らせようとしているわけではない。歩行と走行を切り替える人類の本能の現れと見るべきだ。