ほら、あの「アレ」は…なんだっけ? --- 私の記憶はどこ行った?
『ほら、あの「アレ」は…なんだっけ? — 私の記憶はどこ行った?』(Lear, Martha Weinman. 藤井 留美[訳]. 講談社, 2010)についてのメモ. 名前が覚えられないと嘆き始める年代に起こる問題は,一度にいくつもの作用を進めるマルチタスクが難しくなること,新しい情報の処理に時間がかかること,の2つが多い. 加齢によりマルチタスクが難しくなることを防ぐことは(ほぼ)不可能である.加齢により肉体的能力が低下するのを認めるように,認知能力の低下を認め,仕事や勉強の方法を変えるほうが楽.つまり,必要の無いマルチタスクを止め,ひとつのタスクだけを行うようにする. 加齢により新しい情報の処理に時間がかかることについても,情報を吸収し消化するときには若い頃よりもたっぷり時間をかけるようにすれれば良い. 加齢が記憶に与える影響についての内容が(私にとって)興味深いが,それ以外にも多くの記憶についての専門家へのインタビューが載っている.ただし,訳者もあとがきで「彼女は医学や科学の専門家ではないので、研究者のほうもわかりやすい説明に徹してくれているのでありがたい。それゆえ、いくらか厳密さ、正確さに欠ける表現もなくはないが、そのあたりはどうかお目こぼし願いたい」と書いているので,そのつもりで読むのが良いだろう…